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会社設立(法人化)のメリット

会社を設立(法人化)することにより様々なメリットがあります。
中でも、1番大きいのが「対外的信用」でしょう。そして、誰もが気になる「節税」などの金銭面でのメリットです。
意外と知られていないのが「責任範囲が限定される」ことや、「事業承継対策がとりやすい」といった隠れたメリットです。どんなメリットがあるのか見てみましょう!

会社設立(法人化)のメリット

メリット1 〜対外的・社会的信用力の向上 〜取引先・金融機関など〜

まず第1に、対外的・社会的な信用が増すということがあげられます。

もちろん、個人事業でも信用のあるところはたくさんあります。しかし「肩書に『株式会社』とあるだけで、なんとなく立派な会社だなと感じてしまう」皆さんもそんな経験があるのではないでしょうか?当事務所にご依頼いただく会社設立のきっかけで、一番多いのが、取引先からの要請です。事実、取引をするためには法人化して、会社組織にしなければならないという企業もたくさんあります。

インターネットのショッピングモールなどでは個人事業では出店できなかったり、審査が厳しかったりします。求人募集も働き手にとって信用が高まるため、優秀な人材が集まりやすい傾向にあります。また、法人は会計上個人の勘定と、法人の経営資金との区別を強いられます。

個人の財布と会社の財布が完全に区別されるということです。このことは、財産管理がきちんと整備され、損益や収支の明確化につながるため、金融機関や投資家などに対する信用力の増加につながります。 法人向けの融資スキームも存在しています。つまり、融資や出資を受けやすくなり、資金調達がスムーズになります。

メリット2 〜節税対策〜

法人化のメリットというと『節税』を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
節税は法人化の大きなメリットの一つです。これは、法人税と個人の所得税との税率や課税構造の違いに起因します。

[ 法人税の税率(資本金1億円以下の場合) ]

所得金額 税率
800万円以下 18%
800万円超 30%

[ 所得税の税率 ]

 所得金額 税率   控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超〜330万円以下 10% 97,500円
330万円超〜695万円以下 20% 427,500円
695万円超〜900万円以下 23% 636,000円
900万円超〜1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

ご覧の通り、法人税は800万円で一段階上がりますが、原則として所得額にかかわらず、税率は一定(30%)です。

これに対して、個人の所得税は所得が高い人ほど税率が高い税率となる超過累進税率が採用されています。法人の場合、住民税・事業税を含めた税率は、約45%。

個人の場合、住民税・事業税を含めた税率は、約18%〜55%となっています。一概には言えませんが、所得が600〜700万円以上になった場合は、一度、法人の設立を検討する一つの目安となります。具体的な検討は税理士ともに行います。

メリット3 〜消費税対策〜

個人事業を行っている方で、消費税の課税事業者になるタイミングで法人化を検討する方も多いようです。個人、法人ともに平成25年1月1日以降開始する事業年度から、 消費税の納税義務判定(消費税を払うか払わないかの判定)が変わります

個人事業、法人ともに、消費税を払う事業者になるか否かは、当該事業年度の2期前(=個人の場合は2年前)の売上高で決まります。免税事業者といって、2期前(個人の場合は2年前)の売上が1,000万円以下であれば、当該事業年度は消費税を支払うことはありません。 つまり、新しく事業を始めた場合、2年目までは消費税を支払う必要はありませんでした。(2年前の売り上げがないから)3年目以降、消費税の課税事業者になるか否かは、当該事業年度の2期前(個人の場合は2年前)の売上高で決まります。 2年前の売上が1,000万円以下であれば、当該事業年度は消費税を支払うことはありません。ところが、今回の改正で、他にもう一つ消費税を払うか否かの基準が設けられました。当該事業年度の直前期(個人の場合は1年前)の上半期(6か月)において、売上高が1,000万円を超える場合には消費税を納める必要があるというものです。

つまり、従来の2期前(個人の場合は2年前)の課税売上が1,000万円に達していなくとも、前期の上半期の売上が1,000万円を超えていれば、当該事業年は課税事業者となります。新設法人では、早ければ2期目から消費税の納税が生じますので、新設会社を利用した消費税の節税の効果は大きく低下することになります。
こちらは、個人、法人ともに平成25年1月1日以後開始事業年度より適用されます。

消費税の節税だけを目的とした会社設立はお勧めではありませんので、消費税の他、社会保険等も含め、結局会社を作った場合、手元に残るお金がどれだけ増えるのか、一度検討してみるべきでしょう。

メリット4 〜給与所得控除〜

《個人事業の場合》
個人事業の場合、事業で得た収入から経費を差し引いた金額が、経営者の所得となります。
家族に対する給与などは、一定の制約を受けます。

《法人の場合》
これに対して法人の場合は、事業で得た利益は法人に帰属します。
経営者や、家族に対しても給与を支払うことができ、一定の要件を満たせば、すべて損金として認められます。

法人にとっては、課税所得を抑えることができます。《給与として受け取ることのメリット》
他方、法人の代表者や家族である従業員は、法人の儲けを給与として受け取ることにより、給与所得者控除を受け取ることができます。

つまり、その分課税所得を抑えることができます。また、家族である従業員への給与が、一定の金額(103万円)以下であれば、配偶者控除や扶養控除の対象とすることもできます。
※一定の同族会社などの場合には、役員給与の一部を損金算入できないケースもあります。

メリット5 〜退職金・社会保険などの保障〜

《退職金の支払いが可能になる》
個人事業の場合、退職金を事業主に支払うという概念がなく、また、家族従業員への退職金の支払いも必要経費として認められません。

これに対して、法人の場合、法人から経営者本人や家族従業員への退職金を支払うことができ、その金額が適正であれば、法人の損金として認められます。

また、退職金は、他の所得に比べて、課税上の優遇が大きいので、受け取った個人についても、大きな節税効果が見込めます。 退職金を支払うための財源としては、生命保険などの活用が考えられます

《社会保険への加入による保障が受けられる》
個人事業の場合、事業主は国民健康保険と国民年金に加入することになりますが、法人にした場合は、健康保険と厚生年金保険の適用事業所となり、社長も社会保険に加入することができます。
月々の保険料は高くなりますが、保険料は概ね法人と個人の折半で負担しますので半分は法人の経費にすることができます。

しかも、国民年金よりも厚生年金の方が将来の受取額が大きくなりますし、国民健康保険よりも、健康保険の方が保険給付などの面でメリットが大きいのです。
また、従業員を雇う場合、入社しようとする人にとっては社会保険に加入している会社の方が安心して働けますので、いい人材が採用しやすくなるといえるでしょう。

メリット6 〜責任範囲の限定〜

万が一、事業に失敗して多額の負債を抱えてしまった場合、個人事業の場合は当然すべての負債を事業主が負うことになります。

個人の財産を処分してでも借金を返済しなければなりません。

このことを無限責任と言います。一方、会社(株式会社)の場合には責任が限定されます。自分の出資分を放棄すればすむので、個人の財産を処分する必要はなくなります。会社更生法などニュースで取り上げられる、企業の倒産事例をイメージしてみてください。

株主(出資者)は、株に出資したお金は損をしますが、自分の財産まではとられません。また、経営者も経営責任は問われるかもしれませんが、個人の財産で会社の借金を支払うことはありません。ただし、多くの中小企業では融資を受ける際に、社長個人が連帯保証人になる場合が多いので、この連帯保証分については責任を免れません。

メリット7 〜事業承継 法人は死なない〜

個人事業の場合、事業主が死亡すると預金口座が凍結され、支払いが困難になったり、事業用資産の相続の問題が発生し、事業の継続がスムーズにいかない場合も考えられます。

事業用資産であっても、個人の資産として相続されていくので、代が変わるたびに、相続税や相続争いなどの問題が発生します。法人の場合、経営者が死亡しても、会社がなくなるわけではありません。
預金口座が凍結されたり、事業用資産が相続の対象になることもありません。株式の相続と後継者の問題に対策をとることにより、事業承継をスムーズに行うことが可能です。

また、法人の場合、株式の売却や、会社の合併などにより、事業を売却することも可能です。
事実、事業承継を目的としたM&Aは数多く行われています。

このページでは会社設立のメリットばかりを説明しましたが、会社設立にはデメリットもあることに注意してください。